呼吸器内科は子どもの受診も可能?小児科との違いと受診先の選び方
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)
子どもの咳や「ゼーゼー」という呼吸が続くと、「小児科と呼吸器内科のどちらへ行けばよいのだろう」と迷う保護者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、子どもが呼吸器内科を受診する目安、小児科との役割の違い、早めに相談したい症状をわかりやすく解説します。
1. 子どもの症状は呼吸器内科でも相談できます

呼吸器内科は、肺や気管支、気道など、呼吸に関わる病気を専門的に診る診療科です。咳や喘鳴、息苦しさなどを詳しく確認してもらえます。
ただし、受診できる年齢や実施できる検査は医療機関ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心でしょう。
1-1. 呼吸器内科が診る子どもの症状
子どもの診療に対応する呼吸器内科では、主に次のような症状を確認します。
・風邪が治った後も、咳だけが続いているのか
・咳がいったん良くなった後、再び繰り返しているか
・「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音があるか
・夜間や明け方に咳が出やすい傾向があるか
・運動や冷たい空気をきっかけに咳が出ることがあるか
・気管支炎や肺炎を何度も繰り返したことがあるか
呼吸器内科では、その場の咳だけでなく、症状が出る時間帯やきっかけ、これまでの経過も重視します。「布団に入ると咳が増える」「走った後に咳き込む」などの情報も、原因を考えるうえで大切な手がかりです。
1-2. 小児科と呼吸器内科の役割の違い
小児科は子どもの全身状態を幅広く診る診療科で、呼吸器内科は咳や喘鳴、息苦しさなどの呼吸器症状をより詳しく診る診療科です。
同じ咳でも、初めは小児科で診てもらい、咳だけが残った段階で呼吸器内科へ相談することがあります。
これは診療科を「変える」というより、必要な専門性を追加するイメージで、小児科から呼吸器の専門診療へつなぐこともある、両者が補い合う関係です。
1-3. 迷った場合の考え方

発熱や嘔吐、下痢、発疹、食欲低下など、咳以外の症状も目立つ場合は、まず小児科から相談してもよいでしょう。
年齢が低く、本人が症状をうまく説明できない場合も、全身状態を幅広く確認できる小児科が受診先の候補です。
一方、咳や呼吸の症状が中心の場合は、子どもの診療に対応する呼吸器内科へ相談することも選択肢になります。
受診先に迷った場合は、「咳以外の全身症状が中心か」「咳や呼吸の問題が中心か」という視点で整理すると選びやすくなります。
呼吸器内科で子どもを診療する対象年齢は受診先によって異なります。受診前に、お子さんの年齢と現在の症状を伝え、診療対象かどうかを確認しておくとよいでしょう。
2. 小児科で相談することが多い症状

小児科は、子どもの病気や体調変化を全身的に診る診療科です。咳があっても、発熱や消化器症状、発疹などが一緒にみられる場合は、小児科で相談することが多いでしょう。
成長や発達、食事、睡眠なども含めて確認できることが、小児科の大きな役割です。
2-1. 発熱や感染症など全身症状
子どもの感染症では、呼吸器症状だけでなく、消化器症状や皮膚症状が現れることもあります。特に乳幼児は、症状を言葉で説明するのが難しく、短時間で体調が変化する可能性もあるので注意が必要です。
鼻水など、鼻の症状が強い場合は、鼻の病気が隠れている可能性もあります。
2-2. 子どもの健康状態を幅広く診る役割
小児科では、耳や鼻、のど、胸、お腹、皮膚などを含め、子どもの体を幅広く診察します。咳が出ていても、原因が肺や気管支だけにあるとは限らないためです。
また、子どもの薬は、年齢や体重、症状、持病などに応じて選ぶ必要があります。市販薬や家族に処方された薬を自己判断で使わず、医師や薬剤師へ相談してください。
2-3. 成長や発達を含めた確認
小児科では、病気の診療だけでなく、身長や体重、発達、食事、睡眠、学習、集団生活なども確認します。定期的な小児科受診には、成長や発達を継続して見守る役割もあります。
長引く咳や喘息によって夜に眠れない状態が続けば、日中の集中力や食欲、学校・保育園での活動に影響するかもしれません。こうした生活全体への影響は、小児科と呼吸器内科の双方で共有したい情報です。
呼吸器症状を専門的に診てもらう場合でも、成長や全身状態について小児科で継続的に確認してもらうことで、より総合的な健康管理につながるでしょう。
◆「喘息の子どもが保育園や幼稚園に入園する場合、知っておくべきことは?」>>
3. 呼吸器内科で詳しく確認する症状

咳が長引いている、同じ症状を繰り返す、喘息が疑われるといった場合には、呼吸器専門医に相談をしましょう。
呼吸器内科では、咳の期間だけでなく、出やすい時間帯やきっかけ、呼吸の状態を細かく確認します。
3-1. 長引く咳や繰り返す咳
子どもの咳は風邪に伴ってみられることが多いものの、次のような場合は別の原因を検討します。
・日がたっても改善する傾向がない
・いったん治まっても、すぐに同じ咳が始まる
・風邪をひくたびに咳だけ長く残る
・毎年同じ季節に咳が出る
・咳で何度も目が覚める
・痰(たん)の絡む咳が続いている
受診時には、「何日前から続いているか」だけでなく、朝・昼・夜のどの時間帯に多いか、運動や入浴、外出、寝具などとの関係も伝えるとよいでしょう。
こうした症状の経過を確認しながら、その子に合った管理目標を設定し、成長や症状の変化に応じて見直していくことが大切です。
診察の際には、目標に対してどの程度症状が安定しているかも確認していきます。
【参考情報】『For Parents of Children with Asthma』American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/asthma/managing-asthma/children-and-asthma
3-2. 喘息や気道の問題が疑われる場合
子どもの喘息では、喘鳴だけでなく、夜間や明け方の咳、運動後の咳、息切れなどが現れることがあります。冷たい空気や花粉、ほこりといった環境中の刺激、たばこの煙、風邪などをきっかけに症状が出るケースもみられます。
感染したあとに残る咳、鼻の病気やアレルギー、肺炎、誤って物を吸い込んでしまったことなど、ほかの原因でも似た症状が現れることがあります。
そのため、症状が始まった状況やその後の経過を医師と一緒に確認しながら判断していくことになります。
3-3. 呼吸状態を詳しく評価したい場合
呼吸器内科では、症状に応じた検査を組み合わせて検討します。
呼吸機能検査では、息を大きく吸った後に強く吐くなど、検査担当者の指示に合わせた動作が必要です。年齢や発達段階によっては実施が難しいこともあります。
その場合は、症状の経過、聴診所見、血中酸素飽和度、必要に応じたほかの検査などを組み合わせて判断します。一つの検査結果だけで病名を決めるのではなく、症状が出る場面や治療への反応もあわせて確認しながら判断していきます。
4. 子どもの呼吸器症状で考えられる病気

子どもの咳や喘鳴の原因は一つではありません。喘息や感染症、アレルギーなど、複数の要因が関係している場合もあります。
咳の音や出る時間だけで自己判断せず、考えられる病気を整理するための参考として確認しましょう。
4-1. 喘息・咳喘息
喘息は、気道に慢性的な炎症があり、さまざまな刺激に対して敏感になる病気です。症状として、咳、喘鳴、息苦しさ、胸の違和感などがみられます。
子どもの喘息では、夜間や明け方に咳が増える、走った後に咳き込む、風邪をきっかけに症状を繰り返すといった経過が診断の手がかりになります。症状が出ていないときには、普段どおりに過ごせる子どもも少なくありません。
咳だけが主な症状となる場合には、喘息を含む気道の病気を検討することがあります。ただし、幼い子どもでは呼吸機能検査が難しく、ほかの病気との区別も必要となるため、経過を見ながら慎重に評価します。
【参考情報】『小児のぜん息』日本アレルギー学会)
https://allergyportal.jp/knowledge/childhood-asthma/
4-2. 気管支炎や肺炎
急性気管支炎は、ウイルスなどによって気管支に炎症が起こり、咳や痰、発熱などが現れる病気です。風邪に続いて咳が強くなり、しばらく残ることもあります。
肺炎では、咳や発熱のほか、呼吸の様子の変化(呼吸が速い、息をするたびに胸がへこむ)や、食欲・元気の低下といった症状がみられる場合があります。必ず高熱が出るとは限らないため、体温だけで判断するのは難しいでしょう。
感染予防には、手洗いや手指消毒、身の回りの物のこまめな消毒など、基本的な感染対策を続けることが大切です。咳や鼻水などの症状がある場合は、年齢に応じてマスクの着用も心がけましょう。
【参考情報】『RSウイルス感染症』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rsv.html
4-3. アレルギーによる咳
アレルギー性鼻炎があると、鼻水がのどへ流れる刺激によって咳が出ることがあります。ダニやハウスダスト、花粉、カビ、動物などが、喘息症状を引き起こすきっかけになるケースもみられます。
【参考情報】『Hay Fever | Rhinitis Symptoms, Diagnosis, Management & Treatment』American Academy of Allergy, Asthma & Immunology(AAAAI) https://www.aaaai.org/conditions-treatments/allergies/hay-fever-rhinitis
次のような特徴がある場合は、生活環境との関係を記録しておくとよいでしょう。
・布団に入ると咳が増える
・掃除や衣替えの後に症状が出る
・特定の季節だけ咳や鼻水が続く
・動物と接した後に咳き込む
・目のかゆみ、くしゃみ、鼻水を伴う
ただし、環境によって咳が出るからといって、必ずしもアレルギーが原因とは限りません。冷気や乾燥、煙、強い香りなどが、敏感になった気道を刺激している可能性も考えられます。
症状が出る場所や季節、天候、寝具、運動との関係を医師へ伝えることで、必要な検査や対策を検討しやすくなります。
◆「花粉症と喘息で咳が出る子どもの症状と注意点」をチェック>>
5. 子どもの咳や息苦しさで相談する目安

子どもの受診時期は、咳が続いている日数だけでなく、呼吸の様子や食事、睡眠、活動への影響を含めて考えます。保護者から見た「いつもと違う」という感覚も、大切な判断材料です。
特に息苦しさがある場合は、長く様子を見ずに医療機関へ相談しましょう。
5-1. 咳が長期間続く場合
咳が何日続いたら必ず受診するという一律の基準だけで判断するのは難しいため、症状の経過やほかの症状も含めて考えることが大切です。
発熱や痰、胸の痛み、息苦しさを伴う場合や、保護者から見て「普段の風邪とは違う」と感じる場合も同様です。
受診までに、咳が始まった日、出やすい時間帯、発熱や鼻水の有無、食事や睡眠への影響を記録しておくと役立ちます。
5-2. 夜間や運動時に症状が出る場合
夜中や明け方に繰り返し咳き込む場合や、走る、笑う、大きな声を出すといった動作で咳が出る場合は、気道が刺激に反応しやすくなっている可能性があります。
特に次のような経過がある場合は、呼吸器内科で相談する一つの目安です。
・咳で何度も目が覚める
・横になると咳が増える
・体育や外遊びの後に咳き込む
・運動についていけず、途中で休む
・季節の変わり目に同じ症状を繰り返す
診察時には、症状が出ていないこともあります。夜間の咳や運動後の呼吸音を録音・録画しておくと、医師が状態を把握する助けになるでしょう。
◆「運動誘発性喘息に向き合う子どもと家族のための対策ガイド」をチェック>>
5-3. 日常生活に影響している場合
咳や息苦しさによって日常生活に影響が出ている場合は、「熱がないから大丈夫」と判断せず、医療機関へ相談してください。
咳で眠れず日中もぼんやりしている、遊んだり会話したりするのがつらそうといった睡眠・活動面の変化や、食事や水分を十分に摂れない、学校や保育園を何度も休んでいるといった生活面の変化、普段より呼吸が速く肩で息をしているといった呼吸の変化があるときは、早めの相談を検討してください。
咳の強さだけではなく、呼吸のしやすさ、顔色、食事、睡眠、活動の様子をまとめて確認することが大切です。
6. おわりに
子どもの発熱や全身症状を幅広く確認したい場合は小児科、長引く咳や喘鳴、喘息の疑いなど、呼吸状態を詳しく調べたい場合は呼吸器内科が受診先の候補になります。
「小児科で診てもらった後も咳だけが残っている」「夜間や運動時の咳を詳しく調べたい」という場合は、これまでの経過や処方内容を持参し、子どもの診療に対応する呼吸器内科へ相談するとよいでしょう。
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こんなときは呼吸器内科の受診をおすすめします
- 咳・痰・息切れなどの呼吸に関する症状がある
- 他の病院で原因がわからなかった
- 呼吸器の専門的な検査を受けたい
- 呼吸器の持病があり、専門医に診てもらいたい
呼吸器の専門医が丁寧に対応いたします。お気軽にご相談ください。



