喉の痛みは何科を受診すべき?呼吸器内科に相談したい症状とは
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)
喉の痛みは、風邪や乾燥などでも起こる身近な症状です。一方で、咳や痰、息苦しさ、胸の違和感を伴う場合は、喉の炎症だけではなく、気道や肺の状態が関係していることもあります。
この記事では、喉の痛みがあるときに何科を受診すればよいのか、症状の組み合わせごとにわかりやすく解説します。
1.喉の痛みで何科を選ぶ?受診先は一緒に出ている症状で考える

喉が痛いときは、耳鼻咽喉科・内科・呼吸器内科のどこへ相談すればよいのか迷いやすいものです。
受診先を選ぶときは、「喉の症状が中心か」「全身症状が強いか」「咳や呼吸の症状が目立つか」を分けて考えると整理しやすくなります。
1-1. 喉・鼻・耳の症状が中心なら耳鼻咽喉科で相談しやすい
喉の痛みに加えて、鼻水、鼻づまり、耳の痛み、声がれ、飲み込むときの強い痛みなどがある場合は、耳鼻咽喉科で相談しやすい症状です。
耳鼻咽喉科では、喉や鼻、耳の状態を直接確認し、咽頭炎(いんとうえん)や扁桃炎(へんとうえん)、喉頭炎(こうとうえん)などがないかを見ます。
とくに、片側だけ喉が強く痛い、口が開けにくい、唾を飲み込むのもつらい、声が急に出にくいといった場合は、喉の奥に強い炎症や腫れが起きていることもあります。喉そのものの痛みや飲み込みにくさが主な悩みであれば、まず耳鼻咽喉科で相談するとよいでしょう。
【参考情報】『口・のどの症状』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=17
1-2. 咳や痰が目立つ場合は呼吸器内科も選択肢になる
喉の痛みと一緒に、咳が続く、痰が絡む、ゼーゼー・ヒューヒューする、胸の奥から咳が出るといった症状がある場合は、呼吸器内科で相談しやすいケースです。
たとえば、最初は喉の痛みだけだったものの、数日たって咳が強くなった、痰が増えた、夜や明け方に咳き込むようになった場合です。このようなときは、喉の痛みそのものよりも、気道の炎症や気管支の過敏さが症状の中心になっていることがあります。
「喉が痛い=耳鼻咽喉科」と決めるのではなく、いま一番困っている症状が何かを見て受診先を選ぶことが大切です。
1-3. 高熱や全身のだるさが強い場合は内科・発熱外来も考える
喉の痛みと一緒に、高熱、強いだるさ、関節痛、頭痛などが急に出た場合は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの感染症も考えられます。
この場合は、内科や発熱外来で相談し、必要に応じて検査を受ける流れになることが多いでしょう。
発熱がある場合は、受診前に医療機関の案内を確認しておくと安心です。発熱患者さんの診療時間や入口を分けている医療機関もあります。症状を電話やWEB問診で伝えてから受診すると、スムーズに案内を受けやすくなります。
【参考情報】『インフルエンザ(総合ページ)』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html
2.喉の痛みと咳があるときに呼吸器内科で相談しやすいケース

喉の痛みと咳は、風邪の症状として同時に出ることがあります。
ただし、喉の痛みが落ち着いたあとも咳が残る場合や、咳の出方に特徴がある場合は、呼吸器内科で原因を確認した方がよいこともあります。
2-1. 風邪のあとに咳だけが残る
喉の痛みや発熱はよくなったのに、咳だけが続くことがあります。数日で軽くなる咳であれば経過を見ることもありますが、2週間以上続く、夜眠れない、会話中に咳き込む、咳止めを使っても改善しにくい場合は注意が必要です。
風邪のあとに気管支が敏感になり、冷たい空気や会話、運動で咳が出やすくなることがあります。また、咳喘息(せきぜんそく)や喘息の初期症状として、喉のイガイガ感と咳が続くこともあります。
「風邪の名残だろう」と長く我慢しているうちに、日常生活や睡眠に影響することもあるため、咳が長引くときは一度相談してみましょう。
◆「この咳はただの風邪じゃない?呼吸器内科を受診する目安」>>
2-2. 夜間・早朝の咳、会話で出る咳がある
夜寝る前や明け方に咳が強くなる、話し始めると咳き込む、冷房や外気で咳が出る場合は、気管支が刺激に反応しやすくなっていることがあります。喉が痛いというより、「喉の奥がむずむずする」「空気を吸うと咳が出る」と感じる方もいます。
喘息や咳喘息では、夜間から早朝に症状が出やすいことがあります。喘息では喘鳴(ぜんめい)を伴うことがありますが、咳喘息ではゼーゼー・ヒューヒューが目立たず、咳だけが続く場合もあります。
診察では、咳が出る時間帯やきっかけが大切な情報になります。受診前に「いつ、どんな場面で咳が出るか」を簡単にメモしておくと役立ちます。
【参考情報】『Asthma – Symptoms』National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI), National Institutes of Health
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma/symptoms
2-3. 痰が絡む、痰の色が変わる、胸の奥から咳が出る
喉の痛みとともに痰が増える場合は、気管支炎などが関係していることがあります。透明な痰だけでなく、黄色や緑色の痰が続く、微熱が長引く、胸の奥からゴホゴホと咳が出るときは、肺炎などの可能性も考えます。
痰に血が混じる、息苦しさが強い、胸の痛みがある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。喉の痛みをきっかけに始まった症状でも、途中から咳や痰が主な症状に変わることがあります。
3.喉の痛みと発熱がある場合に考えたい受診先

喉の痛みと発熱があるときは、感染症の可能性を考えます。熱の高さだけで判断するのではなく、咳の有無、痰の状態、全身のつらさ、飲み込みにくさを合わせて見ることが大切です。
3-1. 急な高熱と全身の痛みがある場合
急な38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、強いだるさがある場合は、インフルエンザなどを考えます。インフルエンザでは、喉の痛み、鼻水、咳がみられることもあります。
新型コロナウイルス感染症でも、発熱、咳、全身倦怠感、頭痛、味覚・嗅覚の異常などが出ることがあります。症状だけで風邪・インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症を正確に見分けるのは難しいため、流行状況や周囲の感染状況も含めて医療機関に伝えるとよいでしょう。
【参考情報】『新型コロナウイルス感染症』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
3-2. 強い喉の痛みや飲み込みづらさが目立つ場合
発熱と強い喉の痛みがあり、飲み込むのがつらい、扁桃が腫れている、首のリンパ節が痛いといった場合は、溶連菌感染症などが関係することもあります。溶連菌による咽頭炎では、発熱、咽頭痛、倦怠感、嘔吐などがみられることがあります。
このような症状では、喉の診察や迅速検査が必要になる場合があります。細菌感染が疑われるときは、抗菌薬が必要になることもあるため、市販薬だけで長く様子を見るより、医療機関で相談した方が安心です。
3-3. 発熱に咳・痰・息苦しさが加わる場合
喉の痛みと発熱に加えて、咳や痰が強くなっている場合は、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症も考えられます。とくに、熱が下がらない、咳が悪化している、痰が増える、胸が苦しい、動くと息切れする場合は、肺の状態を確認することがあります。
このようなときは、内科でも相談できますが、咳や痰、息苦しさが目立つ場合は呼吸器内科でも評価しやすい症状です。胸部レントゲン検査や聴診、必要に応じた血液検査などで、肺炎の有無や炎症の程度を確認します。
4. 息苦しさ・喘鳴・胸の違和感を伴うときは早めに確認する

喉の痛みがきっかけでも、息苦しさや胸の違和感がある場合は、受診の優先度が変わることがあります。呼吸のしづらさがあるときは、喉の痛みだけに注目せず、症状の強さや出方を確認しましょう。
4-1. ゼーゼー・ヒューヒューする場合
呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューという音がする状態を喘鳴といいます。喘鳴は、空気の通り道が狭くなっているときに起こりやすい症状です。喘息、気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、さまざまな呼吸器疾患でみられることがあります。
息を吐くときに音がする、横になると苦しい、夜間に咳と息苦しさで目が覚める場合は、呼吸器内科で相談しましょう。喉の痛みが同時にあっても、呼吸の症状が強いときは気道の状態を確認することが大切です。
4-2. 胸の痛み・胸の圧迫感を伴う場合
咳が続くと、胸や肋骨まわりの筋肉が痛くなることがあります。一方で、胸の痛みや圧迫感は、肺炎、胸膜炎、気胸、心臓の病気などでも起こる可能性があるため、痛みの強さや出方を確認することが必要です。
咳をしたときだけ痛いのか、深呼吸で痛いのか、安静にしていても胸が重いのかによって考える病気は変わります。冷や汗、強い息切れ、左肩や腕に広がる痛み、突然の強い胸痛がある場合は、救急受診も含めて早急な対応が必要です。
4-3. すぐに受診を考えたいサイン
喉の痛みがあっても、次のような症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
・息が苦しく、会話がしづらい
・唇の色が悪い(紫色・青白い)
・横になると息苦しくなる
・胸の痛みが強い
・血の混じった痰が出る
・ぐったりして水分が取れない
とくに、喉が強く腫れて呼吸が苦しい場合は、耳鼻咽喉科や救急外来での対応が必要になることもあります。症状が急に悪化した場合や強い症状がある場合は、診療科にこだわりすぎず、救急相談や救急外来の利用も検討しましょう。
5.呼吸器内科では喉の痛みをどう確認する?

呼吸器内科では、喉の痛みだけを単独で見るのではなく、咳や痰、息苦しさがどのように出ているかを確認します。症状の流れを聞いたうえで、必要に応じて検査を組み合わせます。
5-1. 問診では症状の順番と変化を確認する
診察では、いつから喉が痛いのか、咳はいつ出るのか、痰の色や量はどうか、発熱や息苦しさはあるかなどを確認します。喉の痛みが先に出たのか、咳が先だったのか、風邪のあとに咳だけ残ったのかも大切な情報です。
また、花粉症や喘息の既往、喫煙歴、職場や自宅の環境、ペット、冷房、粉じん、香料なども症状に関係することがあります。受診前に、症状が悪化するタイミングをメモしておくと、原因を考える手がかりになります。
5-2. 必要に応じて胸部レントゲンや呼吸機能検査を行う
咳や痰、発熱、胸の違和感がある場合は、胸部レントゲン検査で肺炎などがないか確認することがあります。喘息やCOPDなどが疑われる場合は、呼吸機能検査で息を吐く力や空気の通りやすさを調べます。
気道の炎症を確認するために、呼気NO検査を行うこともあります。血液検査では炎症の程度やアレルギーの傾向を確認し、流行状況や症状によってはインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマなどの検査を検討します。検査はすべての方に同じように行うのではなく、症状に合わせて必要なものを選びます。
5-3. 受診時に伝えるとよいポイント
喉の痛みで呼吸器内科を受診するときは、咳の出方を具体的に伝えると診察が進みやすくなります。たとえば、「夜に強い」「朝だけ痰が絡む」「話すと咳が出る」「冷たい空気でむせる」「階段で息苦しい」などです。
市販薬や他院で処方された薬を使っている場合は、薬の名前や使用期間も伝えましょう。薬が効いたかどうかは、原因を考えるうえで参考になります。喉の痛みが主な悩みでも、咳や痰の経過を一緒に伝えることで、診察時に状況を把握しやすくなります。
6.おわりに
喉の痛みだけで受診先を決めるのではなく、一緒に出ている症状を整理することが大切です。咳や痰、息苦しさがある場合は呼吸器内科も選択肢になります。
症状が長引く場合や悪化している場合、生活に支障がある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関へ相談しましょう。



