いびきや眠気で疑う睡眠時無呼吸症候群の呼吸器内科受診目安と症状
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)
「いびきが大きいと言われる」「しっかり寝たはずなのに日中眠い」と感じていても、忙しさから受診を後回しにしていないでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群は自覚しにくく、放置されやすい特徴があります。
本記事では、症状の特徴や原因、セルフチェック、受診の目安をわかりやすく整理します。
1. 睡眠時無呼吸症候群とは何か

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態を繰り返す病気です。
気づかないうちに体に負担がかかり、日常生活にも影響を及ぼします。
1-1. 睡眠中に起こる無呼吸の仕組み
主に、のどの空気の通り道が狭くなることで呼吸が止まります。
空気の通りが悪くなると、体は酸素不足を補おうとして何度も覚醒を繰り返します。
その結果、睡眠の質が低下し、疲れが取れにくくなるのです。
1-2. 放置されやすい理由と気づきにくさ
無呼吸は眠っている間に起こるため、自分では気づきにくい特徴があります。
また、「いびきは体質」と思い込んでしまうことで、受診のタイミングを逃してしまうケースも少なくありません。
基本的な症状や原因、検査・治療の流れについては別記事で整理しています。
2. 見逃されやすい症状のサイン

睡眠時無呼吸症候群は、いびき以外にもさまざまなサインが現れます。
日常の中にヒントが隠れていることが多いため、違和感を見過ごさずに振り返ることが重要です。
2-1. いびきと無呼吸の関係
大きないびきは、空気の通り道が狭くなっているサインです。途中でいびきが止まり、その後大きな呼吸音とともに再開する場合は、無呼吸が起きている可能性があります。
本人は気づかないことが多いため、家族からの指摘がきっかけになるケースも少なくありません。
2-2. 日中の眠気や集中力低下
十分な睡眠時間を確保しているのに強い眠気が出る場合は注意が必要です。
例えば、会議中や電車での移動中にうとうとする、運転中に眠気を感じるといった状態は、睡眠の質が低下しているサインと考えられます。
単なる疲れと見過ごされやすいですが、継続している場合は原因を確認することが大切です。
日中の眠気は、睡眠時間だけでなく睡眠の質にも影響を受けます。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用など、生活習慣が関係している場合もあります。
【参考情報】『Blue light has a dark side』Harvard Health Publishing
https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/blue-light-has-a-dark-side
2-3. 夜間頻尿や熟睡感のなさ
夜中に何度も目が覚める、トイレに起きる回数が増えたといった変化も見逃せません。
これらは睡眠の分断が起きている可能性を示しており、結果として「寝た気がしない」と感じることにつながります。
朝起きたときに疲れが残っている場合も、睡眠の質が低下しているサインの一つです。
これらの症状は一つだけで判断するのではなく、複数重なっているかどうかが重要になります。次の章では、自宅でできるセルフチェックの方法を紹介します。
【参考情報】『夜間頻尿診療ガイドライン』日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/37_nocturia_v2-2.pdf
3. 自宅でできるセルフチェック

受診の判断に迷う場合は、まず自分の状態を整理することが重要です。
睡眠時無呼吸症候群は自覚しにくいため、日常のサインを客観的に振り返ることが大切です。
簡単なセルフチェックでも、受診を検討する目安を把握することができます。
3-1. 睡眠中や日中の様子を振り返るポイント
以下の項目に当てはまるか確認してみましょう。
・いびきが大きいと指摘されたことがある
・呼吸が止まっていると言われたことがある
・寝ている間に何度も目が覚める
・日中に強い眠気がある
・集中力が続かない
・朝起きたときに頭が重い
複数当てはまる場合は注意が必要です。
目安として、3つ以上当てはまる場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
5つ以上、または日中の強い眠気がある場合は、早めに相談を検討する目安になります。
なお、いびきはすべての人で同じように現れるわけではありません。
特に女性の場合は、音が小さい、毎日ではないなどの特徴から、自分では気づきにくいことがあります。
そのため、「症状が軽いから問題ない」と判断せず、違和感がある場合は一度状況を整理することが大切です。
3-2. 日常生活の中での気づき
日中の眠気は見逃されやすいサインの一つです。例えば、会議中や電車での移動中に強い眠気を感じる、運転中にうとうとするような場合は、単なる疲れではなく睡眠の質の低下が影響している可能性があります。
また、「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」と感じる状態が続く場合も、睡眠の分断が起きているサインと考えられます。日常生活にどの程度影響が出ているかを振り返ることが、受診判断の重要な手がかりになります。
3-3. 家族に指摘された場合の重要性
睡眠時無呼吸症候群は、自分では気づきにくい一方で、周囲の人が異変に気づくことが多い病気です。
家族から「いびきがひどい」「息が止まっている」と言われた場合は、重要なサインといえます。
特に「呼吸が止まっている」と具体的に指摘された場合は、無呼吸が起きている可能性が高いため、受診を検討する目安になります。
自覚症状が少なくても、他者からの指摘は軽視しないことが大切です。
こうしたサインを踏まえて、次の章では受診の目安について整理します。
【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』厚生労働省
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/sleep-apnea-syndrome
4. 呼吸器内科を受診するべきタイミング

セルフチェックの結果を踏まえて、「受診するべきか迷っている」という方も多いのではないでしょうか。症状があっても軽く考えてしまったり、様子を見てしまったりすることは少なくありません。
ここでは、受診を検討する目安を具体的に整理します。
4-1. 早めに受診を検討したいケース
いびきが大きい状態が続いている場合や、呼吸が止まっていると指摘されたことがある場合は、睡眠中の呼吸に問題が起きている可能性があります。
また、日中の強い眠気によって仕事や日常生活に支障が出ている場合や、運転中に眠気を感じるような状況も注意が必要です。
さらに、高血圧などの生活習慣病を指摘されている場合は、睡眠時無呼吸症候群が関係していることもあるため、一度状態を確認しておくことが重要です。
これらのサインが複数当てはまる場合は、早めに呼吸器内科で相談することを検討しましょう。
睡眠時無呼吸症候群は、放置することで健康への影響が大きくなる可能性があるとされています。
【参考情報】『Mortality and apnea index in obstructive sleep apnea. Experience in 385 male patients』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3289839/
4-2. 様子を見ることもあるケース
一方で、すべてのいびきがすぐに受診を必要とするわけではありません。
・疲れている日だけいびきが出る
・飲酒後に一時的にいびきが出る
・日中の眠気や体調不良がない
このような場合は、生活習慣の見直しや体調管理によって改善することもあります。ただし、症状が続く場合や変化がある場合は、改めて受診を検討することが大切です。
在宅勤務や生活リズムの変化によって、気づかないうちに睡眠の質が低下しているケースもあります。「疲れているだけ」と感じている症状の中に、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性もあるため、一度生活習慣を振り返ることが重要です。
◆『在宅勤務と睡眠時無呼吸症候群の関係について』について>>
4-3.判断に迷った場合の考え方
「受診するほどではないかもしれない」と感じる段階でも、不安が続く場合は一度相談するという選択もあります。
睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状が軽いまま進行することもあり、「気づいたときには影響が広がっていた」というケースも少なくありません。
現在の状態を確認し、必要に応じて対応を考えることが安心につながります。
どの診療科を受診すべきか迷う場合は、呼吸器内科での相談も一つの選択肢になります。
5. 受診前に準備しておくと良いこと

受診時に情報が整理されていると、より適切な評価につながります。事前に準備できることは意外と多くあります。
5-1. 症状の記録方法
「いつから」「どのくらいの頻度で」「どんな症状があるか」をメモしておきます。
日中の眠気の強さや、起床時の状態も記録しておくと参考になります。
記録しておくことで、診察時に症状が伝わりやすくなり、より適切な評価につながります。
5-2. 家族からの情報の活用
いびきや無呼吸は本人が気づきにくいため、家族の観察が重要な情報になります。
可能であれば、どのような様子だったか具体的に聞いておきましょう。
また、ご自身だけでなく、ご家族のいびきや日中の眠気が気になる場合もあるかもしれません。
特に思春期のお子さんでは、睡眠の質が集中力や学習面に影響する可能性も指摘されています。
【参考情報】
『睡眠時無呼吸症候群(SAS)と子どもの発達の問題』日本小児耳鼻咽喉科学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/31/3/31_209/_pdf
5-3. 検査の流れを理解しておく
睡眠時無呼吸症候群の検査には、自宅で行う簡易検査や、医療機関で行う精密検査があります。事前に大まかな流れを知っておくことで、受診への心理的なハードルを下げることができます。
検査は身体への負担が少なく、初めての方でも受けやすいものが多いです。
6. おわりに
睡眠時無呼吸症候群は、自覚しにくい一方で日常生活や健康に影響を及ぼす可能性があります。
いびきや日中の眠気、集中力の低下といったサインを見逃さず、セルフチェックで状況を整理することが重要です。
判断に迷う場合は、無理に我慢せず専門的な視点で確認することが、安心につながる第一歩になります。
気になる症状が続く場合は、早めに医療機関へ相談することも検討しましょう。



