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喘息や咳喘息のときに選ぶべき病院

医学博士 安齋 千恵子
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)

「咳が出て止まらない」
「咳が長引いてつらい」
そのような症状がある場合、「何科を受診したらいいのだろう」と迷うことはありませんか?

風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症でも咳は出ますが、一時的で症状は治まります。

咳が長引いている場合、喘息や咳喘息の可能性があるでしょう。

今回の記事では、咳が長引いている場合や喘息の疑いがある場合の受診すべき診療科、喘息と咳喘息の違いについて解説します。
咳が止まらず長引いてお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。

1. 2週間以上咳が続く場合は喘息を疑いましょう


咳は、身体の防御反応のため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかるとよくあらわれる症状です。

感染症が原因で出る咳は、長くても1~2週間以内には治まります。
咳以外に、以下のような症状がある場合、まずは呼吸器の感染症を疑いましょう。

・発熱
・のどの痛み
・頭痛
・倦怠感
・関節痛

このような症状がない、または消失しているにも関わらず、咳が2週間以上止まらない場合、ほかの疾患の可能性があります。

咳には、持続期間による分類があります。

・急性咳嗽:3週間未満
・遷延性咳嗽:3週間以上8週間未満
・慢性咳嗽:8週間以上

そのため、2週間以上続く咳は、感染症が原因ではなく、喘息やCOPD、花粉症、後鼻漏など、ほかの疾患の可能性が高いでしょう。一度、医療機関を受診しておくと安心です。

【参考情報】『咳嗽に関するガイドライン(第2版)』日本呼吸器学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/119/3/119_157/_pdf

【参考文献】❝Asthma❞ by emergencyphysicians.org
https://www.emergencyphysicians.org/article/know-when-to-go/asthma

2.喘息かも?疑いがあるときは呼吸器内科へ


「喘息かも?」と思ったら、呼吸器内科の受診をおすすめします。

呼吸器内科では、呼吸器に関する疾患を専門にしており、一般内科は総合的な内科疾患に対応しています。
一般内科でも喘息治療は可能ですが、呼吸器内科の方が呼吸器疾患に対応する症例数も多く、呼吸器の検査に使用する機器類も充実しています。

そのため、喘息の場合、一般内科より専門的な診療が受けられる呼吸器内科の受診をするのがよいでしょう。

喘息以外にも風邪や気管支炎、肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など呼吸器に関連する疾患は、呼吸器内科の専門領域です。

「喘息かも?」と思う場合、以下のような特徴がありませんか?

以下は、喘息の特徴です。

・咳が続く
・ヒューヒュー、ゼィゼィといった喘鳴が聴かれる
・夜間から早朝にかけて症状が出やすい
・冷たい空気や運動、煙を吸うなどをきっかけに症状が出る
・台風や季節の変わり目に症状が出る

このような状態は喘息の可能性が高いです。早めに呼吸器内科の受診をしましょう。

受診の際は、以下のポイントをふまえて医師に話をすると、診察がスムーズにできます。

・どのような症状か(咳、痰、息切れ、喘鳴の有無、息苦しさ、発作など)
・いつから症状があるのか
・どんなときに症状がでるのか
・どの程度の症状がでるのか
・症状の繰り返しや頻度

その他、基礎疾患や喫煙の有無、アレルギーの有無や家族歴なども伝えましょう。

【参考情報】『もしかしてぜん息?と思っている方へ』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/case/check.html

3.喘息と咳喘息で違いはある?


喘息と咳喘息は、似たような症状があらわれますが、違いもあります。

喘息では、ヒューヒュー・ゼィゼィなどの喘鳴が聴かれますが、咳喘息では喘鳴が聴かれないことが大きな特徴でしょう。

<喘息の特徴>
前の項目で紹介したもの以外にも喘息の特徴があります。

・症状は一過性だが繰り返す
・アレルギー体質である
・小児喘息があった
・家族のなかに喘息の人がいる
・気管支拡張薬の吸入で呼吸が楽になる

気管支喘息は、気管支の慢性的な炎症が原因です。

<咳喘息の特徴>
咳喘息には、以下のような特徴があります。

・風邪のあとに咳だけ残る
・咳は痰を伴わない空咳
・喘鳴や呼吸困難がない
・8週間以上咳が続いている
・気管支拡張薬の吸入で楽になる
・夜間や早朝に悪化しやすい
・特定の季節に悪化する場合がある

喘息と咳喘息は、症状はとても似ているため、診断には医師の診察や検査が必要です。

咳喘息は治療せずに放っておくと、本格的な気管支喘息に移行し、難治化する可能性があります。咳喘息は喘息の一歩手前の状態だと考えましょう。
「しばらくすれば治まるだろう」と安易に考えず、早めに呼吸器内科の受診をおすすめします。

<喘息や咳喘息の治療>
喘息と咳喘息は、両疾患ともおなじ治療をおこないます。

喘息や咳喘息の方の気管支は、慢性的に炎症がおきているため、気道が過敏な状態です。

治療は主に、ステロイド薬と気管支拡張薬を使います。ステロイド薬は、気管支の慢性的な炎症を抑える役割があります。
副作用が少ないため、吸入で服用する方法が一般的です。

気管支拡張薬は、名前の通り、狭くなった気管支を拡張し広げる薬です。
吸入薬や内服薬、貼付薬などがあります。

薬の使用は、医師の指示に従い、発作が起きないようコントロールしていくことが大切です。症状が落ち着いても、治療は継続しましょう。

また、喘息も咳喘息も、タバコで症状が悪化します。
本人が禁煙するだけでなく、周囲の人にも禁煙してもらうよう協力が必要です。

【参考情報】『気管支喘息:診断と治療の進歩』日本内科学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/98/12/98_3083/_pdf

4.おわりに

咳は、長引くと非常につらいです。

風邪やインフルエンザなどの感染症でも咳が出ます。

しかし、2週間以上咳が続いている方や風邪が治ったのに咳だけ治まらない方は、喘息や咳喘息の可能性が高いです。

咳喘息は放っておくと本格的な喘息に移行し、難治化するケースが多いため早めに治療する方がいいでしょう。

また、咳が続く病気として、喘息や咳喘息以外に他の疾患の可能性も考えられます。
早めに医療機関を受診しておくと安心です。

咳は、一般内科や耳鼻咽喉科でも診察してくれますが、呼吸器内科は、呼吸器疾患のエキスパートです。咳で医療機関に行く際は、呼吸器内科の受診をおすすめします。

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