診療時間
ご予約・ご相談はこちらから

小児喘息とはどんな病気?

医学博士 安齋 千恵子
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)

小児喘息は、子どもに見られる慢性的な呼吸器系疾患です。

喘鳴(ぜいぜいとした呼吸音)、咳、胸部の圧迫感、呼吸困難などの症状が起こります。主に、空気の通り道である気道が炎症を起こし、敏感になるためにこれらの症状が現れます。

子どもは息苦しさを感じても言葉でうまく伝えることができません 。保護者の方が症状を把握し、日々管理することが必要です。

この記事では、小児喘息の症状や原因、検査と治療、予防についてご紹介します。

1.小児喘息について


小児喘息は、子どもの慢性的な呼吸器の炎症疾患です。

喘息の発作では、気道の狭まりにより呼吸が苦しくなり、喘鳴と呼ばれる特徴的な音が聞こえることがあります。

風邪やアレルゲンによって誘発されることが多く、気道の炎症を抑える治療や発作時の吸入薬の使用が重要です。また、生活環境での対策やアレルゲンの管理も大切といえます。

【参考文献】❝childhood asthma❞ by mayo clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/childhood-asthma/symptoms-causes/syc-20351507

2.症状

 

小児喘息の症状として、とくに夜間や早朝に頻繁に起こる咳、呼吸困難や息切れ、胸部の圧迫感や痛み、喘鳴(ヒューヒューゼーゼーという呼吸音)があります。
強い発作の症状があった際には、直ちに病院へ行く必要があります。子どもが以下のような症状になった場合、強い発作が起こっています。すぐに病院を受診するか救急車を呼んでください。

もし発作用の吸入薬を持っている場合は、病院に行く前に使用しましょう(20~30分毎に最大3回まで)。

・唇や爪が白く見える
・息を吸うときに小鼻が広がる
・息を吸うとき胸が凹む
・心拍数がとても速い
・苦しくて話せない
・息を吐くのに時間がかかる
・歩けない
・横になれない、または眠れない
・意識がもうろうとする
・過度に興奮する、または暴れる

強い発作でない場合でも、発作が起きたときは吸入薬または内服薬を使用し15分から30分間様子を見ましょう。

薬を使っても症状が変わらない、または悪化する場合は病院を受診します。発作が起こったときの具体的な対処法について、あらかじめ主治医と相談しておくと安心です。

3.原因


小児喘息の原因は、多くはアレルギー反応によるものです。たとえば、ハウスダストやダニ、ペットの毛やふけ、花粉などのアレルゲンが挙げられます。

また、気管支喘息をもつ家族がいたり、本人が他のアレルギー(食物アレルギーやアトピー性皮膚炎など)を持っている場合にも発症しやすい傾向があります。

喘息の発作を起こす要因としては、ハウスダストやダニ、花粉などのアレルゲン、風邪などのウイルス、気候の変化、運動、ストレス、タバコの煙やペットの毛などがあります。

4.検査


小児喘息の検査は、まず子どもの健康状態や生活環境に関する次のような問診が行われます。
症状の特徴について

咳、息切れ、喘鳴(ぜいぜいする音)などの症状があるかどうか、症状がいつ、どのような状況で現れるかを確認します。とくに、夜間や早朝に症状が悪化するか、運動や特定の季節に症状が出やすいかなどを問診します。

アレルギー歴と家族歴について

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎の有無、家族に喘息や他のアレルギー疾患の方がいるかどうかを確認します。

生活環境について

自宅で犬や猫などの毛のあるペットを飼っているか、家庭内や身近な人に喫煙者がいるかどうかについての問診を行います。

以上のような問診の結果、小児喘息が疑われる場合には、さらにいくつかの検査が行われます。

6歳以上の子どもの場合、呼吸機能検査を行います。気管支の狭さや息を吐き出す力の測定です。発作がある場合、吐き出す力が低下していることが確認できます。ピークフローメーターを使用した検査では、息を吐き出す力を測定することが可能です。

また、 問診で特定のアレルゲンによる喘息が疑われる場合、血液検査を通じてアレルギー反応を示すアレルゲンを特定します。

5.治療


​​小児喘息の治療は、発作が起きたときの対処と、発作を予防する日常の治療の二つの方向性に分けられます。喘息の程度に応じて治療薬を選び、子どもの症状を管理するのが目的です。

発作時の治療

発作時には、気管支を広げて呼吸を楽にするために気管支拡張薬(β2刺激薬)を吸入します。軽い発作では、この吸入だけで症状が治まることが多いです。症状が改善しない場合や重い発作の場合は、速やかに救急医療機関を受診することが大切です。

日常の治療

普段行う治療の目標は、症状を出させないことと、子どもが大人になっても喘息が続かないようにすることです。以下の薬が治療に使われます。

ステロイド薬:気管支の炎症を抑えるために使われ、主に吸入薬として使われます。発作が重い場合には、内服薬や注射薬としても使用されます。

ロイコトリエン受容体拮抗薬:炎症を抑え、気管支を広げる効果があります。服用形態は内服薬です。

テオフィリン薬:内服する気管支拡張薬で、長期的に使われます。

6.予防・対策


小児喘息の予防は、アレルゲン対策が非常に重要です。

ハウスダストやダニなどのアレルゲンを減らすために、生活環境を整えましょう。ペットや花粉も、とくにアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。定期的な掃除が予防になります。

また、発作の一因となるタバコの煙から遠ざかることも重要です。

適切な治療を受けることも欠かさないようにしましょう。薬での治療や、定期的な検査を通じて症状の管理を行うことが可能です。

日常での発作の対策により喘息発作を予防し、症状を軽減することが期待できます。

7.おわりに

子どもの健康を守るためには、喘息に対して早めに対処することが重要です。もし、喘息の可能性のある症状が見られる場合は、医療機関への受診を検討しましょう。

かかりつけの小児科や呼吸器専門の内科がおすすめです。喘息の症状を正確に診断し、必要に応じて適切な治療を始めることができます。

子どもは自分の症状をうまく伝えることができません。保護者の方が日常的に子どもの状態に注意を払うことが必要です。気になる症状が見られた際には、迅速に専門の医療機関へ相談しましょう。

記事のカテゴリー

診療時間
アクセス