診療時間
ご予約・ご相談はこちらから

咳と頭痛を起こす可能性のある病気とは?

医学博士 安齋 千恵子
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)

咳と一緒に頭が痛くなった経験はあるでしょうか。

なんとなく風邪っぽいから、頭が痛くなるのも普通のことだと、あまり気にしないようにすることもあるかもしれませんが、咳と頭痛が現れる時には病気が潜んでいる可能性もあります。

原因を知り、つらい症状が少しでも早く解決できるよう、今回は咳と頭痛を引き起こす病気について説明します。

様子を見ても大丈夫な場合やすぐに治療が必要な場合があるので、受診の目安を知るためにぜひ読んでみてください。

【参考文献】❝Cough headaches❞ by mayo clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/primary-cough-headaches/symptoms-causes/syc-20371200

1.咳と頭痛、両方の症状がある病気


つらい咳と頭痛を引き起こす病気は、以下のようなものが考えられます。

1-1.一次性咳漱性頭痛

一次性咳嗽性頭痛は咳やくしゃみをしたり、いきんだりとぐっと力を入れることで突発的に現れ、長くは続かない頭痛です。ほとんどの場合は両側性で後頭部に痛みを感じると言われています。

咳やくしゃみなど力を入れるような動作を控えることで症状は抑えられ、心配ないことが多いですが、痛みが強い時にはインドメタシンなどの薬で症状を緩和することができます。

症状が長く続く場合や、我慢できない痛みの場合は、他の病気が原因となる二次性の頭痛であることが考えられ、受診や検査が必要となるため症状の経過に注意が必要です。

【参考情報】『頭痛の診療ガイドライン2021 V-2』日本頭痛学会
https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf

1-2.風邪などの呼吸器感染症

風邪や新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症では、咳と頭痛の両方が現れることがあります。
呼吸器感染症による頭痛の原因ははっきり解明されていませんが、体が感染と戦う際の反応と考えられています。

多くの場合は原因となる病気が治れば、咳も頭痛もよくなることがほとんどです。

しかし、新型コロナウイルス感染症では感染症の消失後も、さまざまな後遺症が報告されており、咳や頭痛も後遺症としてしばらく続くことがあります。

つらい症状はしっかり薬でコントロールし、苦しい時間がなるべく続かないようにすることも大切です。

薬が効かない頭痛やその他の長引く症状には別の病気が潜んでいることもあるため、そのような場合は再度病院を受診しましょう。

1-3.副鼻腔炎

副鼻腔炎(蓄膿症)は鼻の左右と両方の眉毛の上あたりにある左右4つの空洞(副鼻腔)に、風邪などが原因で炎症が起こり、膿が溜まる病気です。

鼻づまりやドロッとした匂いのある鼻水が出る、また、鼻の横や額のあたりに痛みを感じることもあります。

副鼻腔炎による頭痛の原因ははっきりしていませんが、炎症により神経が刺激されるせいではないかと考えられています。

また、鼻水が増えてくると、のどのほうに鼻水が流れる後鼻漏が起こり、鼻水を追い出そうとする刺激で咳が出るため、副鼻腔炎では咳と頭痛の両方が現れやすくなります。

検査では鼻内視鏡やレントゲン、CTを使用し副鼻腔炎の診断を行います。
慢性化した副鼻腔炎では長期の内服治療や内視鏡手術での治療を行うこともあるので、症状がある時には早めの受診と治療が必要です。

【参考情報】『鼻の病気:副鼻腔炎』日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=21

1-4.喘息

喘息は空気の通り道(気道)に炎症が起こり、ダニやハウスダストなどのさまざまなアレルギー物質や運動が原因で発作を起こす病気です。

発作が起きた時はヒューヒュー、ゼーゼーする苦しい呼吸と激しい咳が症状として現れます。

喘息発作は夜間や早朝に起きることが多いですが、喘息の患者さんは、気候の変化でも体調を崩しやすく、気圧の急激な変化により咳だけではなく、頭痛が起こることもあります。

喘息の疑いがある時には呼吸機能検査、痰の検査、吐いた息の一酸化窒素濃度の測定などを行い診断し、治療はステロイドの吸入薬を使用します

【参考情報】『呼吸器の病気:気管支喘息』
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html

2.咳と頭痛がある場合に受診したい診療科


症状に合わせ受診先を選択しましょう。

2-1.脳神経内科

一次性咳嗽性頭痛のように咳やくしゃみなど、力を入れることで突発的な頭痛が起きることがあります。

しかし、痛み止めが効かないほどのひどい頭痛や、繰り返すうちに痛みが増す場合は脳の病気が隠れていることが考えられます。

症状が続く場合には脳動脈瘤、髄膜炎、硬膜下血腫など深刻な病気の可能性もあるため、早めに脳神経内科を受診し、検査を受け原因を知るようにしましょう。

【参考情報】『頭痛とは/頭痛がおこったら/頭痛の分類』日本頭痛学会
https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_01.html

2-2.耳鼻咽喉科

鼻づまりや鼻水がのどに流れるなどの症状がある場合、ただの風邪ではなく、鼻の病気が原因で咳や頭痛を引き起こしている可能性があります。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)などにより鼻の症状が続く場合には、息苦しさや不快感で日常生活に支障をきたす可能性もあるため、耳鼻咽喉科を受診し、早めに治療を受けられるようにしましょう。

2-3.呼吸器内科

2週間以上続く咳や、夜間から早朝に咳が出やすい時には喘息の疑いがあります。
喘息は季節の変わり目や気候の急激な変化でも症状がひどくなりやすく、咳や頭痛を引き起こすつらい病気です。

また、高熱やのどの痛みを伴う新型コロナウイルス感染症や、数週間にわたり咳が続く咳喘息などが疑われる場合には、呼吸器内科を受診し、早めの治療を受けましょう。

2-4.頭痛外来

咳と頭痛、両方の症状が出ていても、咳より頭痛の方がつらいと感じる場合には専門で相談できる頭痛外来があります。

原因がわからないことに不安を感じている場合や、頭痛で仕事や私生活に支障があり悩まれている場合は頭痛外来を受診し、相談してみましょう。

3.おわりに

咳と頭痛があり、頭痛よりも咳が心配な場合には呼吸器内科を受診してください。咳の原因に合わせた適切な治療を受けることで、咳を起こす原因となる病気が治り、それと共に頭痛の軽減も期待できます。

咳と頭痛を起こす病気にはさまざまな原因が考えられるため、症状をしっかり把握し、診療科を選択するようにしましょう。

症状が長引くことで、苦痛やストレスも大きく、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
考えられる病気の症状や受診の目安を知り、少しでも早く症状が治まるように対処していきましょう。

記事のカテゴリー

診療時間
アクセス