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猫を飼ってて咳症状がある。猫アレルギーと自宅でできる対処法を紹介

医学博士 安齋 千恵子
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)

「猫を飼っていて咳症状がある」

このような症状がある方は、猫アレルギーのサインかもしれません。

猫アレルギーは、咳以外にもさまざまな症状があらわれますが、適切な対処をすれば症状を緩和することができます。

今回の記事では、猫を飼っていて咳が出てお困りの方に、猫アレルギーの基本情報から検査や治療などを解説します。

自宅でできる猫アレルギーの対処法についても紹介しますので、愛猫との生活を快適に過ごしましょう。

猫を飼っていて咳が出る方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

1.猫アレルギーの基本情報


猫に接触すると咳やくしゃみが出る、目や皮膚がかゆくなるといったアレルギー症状があらわれる場合があります。

猫アレルギーは、猫を飼っている人にとって身近な健康問題のひとつです。

ここでは、猫アレルギーの基本情報について解説します。

1-1.特徴

猫アレルギーは、動物アレルギーの中でも多いといわれています。

アレルゲンである猫のフケや体毛、唾液、排泄物などに触れたり吸い込んだりすることによって発症するアレルギーの一種です。

猫と生活をしている方だけでなく、猫を飼っていない人にも発症する可能性があります。

猫アレルギーを発症するリスクが高い人は、アトピー体質の人やアレルギー性鼻炎を持つ人など、アレルギー体質の方に多くいます。

アレルギー症状は、猫に直接触れた場合だけでなく、猫がいた空間にいるだけでもあらわれる場合があるため、注意が必要です。

これは猫のアレルゲンは低分子で空気中の浮遊時間が長い特徴があります。そのため、直接猫と接しなくても影響を受けてしまいます。

軽度の場合は咳や目のかゆみ、くしゃみなどが主ですが、重度の場合は呼吸困難や喘息発作を引き起こし命に関わるケースもあるため注意しましょう。

1-2.原因

猫アレルギーは、猫のフケや体毛、唾液、排泄物などに含まれるタンパク質が原因です。

これらのタンパク質はアレルゲンとして作用し、免疫系が過剰に反応して症状を引き起こすのです。

猫アレルギーを引き起こすタンパク質は、Feld1からFeld8までの8種類報告されています。

そのなかでもFeld1(フェルディーワン)が最も多い原因で、猫アレルギー患者の90%以上がこのFeld1に対してアレルギー反応を示します。

Feld1は、猫の唾液腺や皮脂腺から分泌されており、猫のフケや舐めた毛に付着し室内に飛散します。

そもそもアレルギーは、感作(かんさ)が起こることが原因です。感作とは、アレルゲンに繰り返しさらされると、徐々に体が過剰反応を示すようになる状態を指します。

猫との接触頻度が高いほど感作される可能性が高くなり、アレルギーを起こしやすくなります。

【参考情報】『動物アレルギー』メディカルノート
https://medicalnote.jp/diseases/%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC

【参考文献】”Pet allergy” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/pet-allergy/symptoms-causes/syc-20352192

1-3.症状

咳は猫アレルギー症状のなかでもよく見られる反応のひとつです。

しかし、咳だけでなくアレルギー反応は全身にあらわれ、以下のように多岐にわたります。

・呼吸器系の症状
・目の症状
・皮膚の症状
・そのほかの全身症状

それぞれ、症状の特徴を解説します。

【呼吸器系の症状】
呼吸器系の症状として代表的なものは、咳やのどの違和感、鼻水、鼻詰まりです。

猫アレルギーによる咳は、気道がアレルゲンによって刺激されるため発生します。

咳が続く状態を放っておくと、のどの痛みや声のかすれを引き起こす場合があるため、適切な治療が必要です。

また、喘息を持っている方は、猫のアレルゲンが原因で喘息の症状を悪化させる可能性が高いです。場合によっては、息切れや呼吸困難など、喘息発作の誘発につながります。

猫アレルギーでは、鼻水や鼻詰まりなどを起こす、アレルギー性鼻炎もよく見られます。透明で粘り気のないサラサラした鼻水が出るのが特徴です。

◆『アレルギーと喘息について』>>

◆『咳が止まらない!アレルギーが原因かも?』>>

◆『ペットの飼育と喘息』について>>

【目の症状】
目の症状として代表的なものは、目のかゆみや充血、涙の増加、目やになどです。

症状が悪化すると、目の周囲がはれぼったくなり、目が開けにくくなる場合があります。

これらの症状は、アレルギー性結膜炎の症状で、目にアレルゲンが付着することが原因であらわれます。

【皮膚症状】
皮膚の症状として代表的なのは、皮膚のかゆみや発赤、発疹などです。

猫に触れた部分や、アレルゲンが付着した衣類を着用したときに症状があらわれます。

【そのほかの全身症状】
そのほかの症状として、体のだるさを感じたり、鼻詰まりによる副鼻腔炎症状を併発したりします。

日常生活に支障が出ない程度の軽症の場合もありますが、重症の場合は仕事や勉強に集中できなかったり夜眠れなくなったりと、生活に大きな影響を与えることがあります。

症状のあらわれ方や重さは人によって異なりますが、猫アレルギーが疑われる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

【参考文献】”Pet Allergies” by American college of Allerergy,Asthma&lmmunology
https://acaai.org/allergies/allergic-conditions/pet-allergies/

2.検査


猫アレルギーが疑われる場合、アレルギー検査を受けることでアレルギーの有無や程度を把握できます。

また、症状の原因が猫アレルギーであるか、他の要因によるものかを判断する重要な手段にもなります。

猫アレルギーの診断で一般的に行われる検査の種類は以下の通りです。

・血液検査
・皮膚プリックテスト
・パッチテスト

ここでは、主に行われる3つのアレルギー検査について、それぞれ解説します。

【血液検査】
血液検査は、アレルギーの有無を調べるために一般的に行われる検査方法です。

採血を行い、血液中の「特異的IgE抗体」というアレルギーを引き起こす抗体の量を測定します。

IgE抗体は、アレルギー反応を引き起こす物質に対して体内で作られるタンパク質です。

猫アレルギーの場合は、猫のフケや唾液に含まれる特定のタンパク質(Feld1など)のアレルゲンに対するIgE抗体の有無を確認します

【皮膚プリックテスト】
皮膚プリックテストは、アレルゲンを少量皮膚に付けてアレルギー反応を確認する方法です。

この検査は即時型アレルギー(IgE抗体による反応)を確認するために用いられます。

検査方法は簡単で、前腕や背中にアレルゲン液を一滴ずつ垂らし、滴の部分の皮膚に針で軽く刺します。

15分–30分後に皮膚の赤みや腫れを観察し、アレルギー反応を評価します。

すぐに結果がわかるのがメリットですが、直接アレルゲンを付着させるため、アレルギー症状が出る可能性が高く、注意が必要です。

【パッチテスト】
パッチテストは、接触性アレルギーを確認するための検査で、遅延型アレルギーの検査に適しています。

検査方法は、背中にアレルゲンを含んだパッチを貼り付け、48時間後にパッチを剥がし、さらに1–2日後に皮膚の状態を確認します。

皮膚プリックテストと同様に、直接アレルゲンを付着させるため、アレルギー症状が出る可能性があります。

これらの検査を行って問題がなかったのに、実際に猫と触れ合うとアレルギー症状がでたりするケースもあります。

その場合は、医師と相談し治療方針や対策など相談すると安心でしょう。

【参考文献】”A Guide to Pet Allergy Testing” by animal Trust
https://www.animaltrust.org.uk/pet-advice/pet-allergy-testing

3.治療


猫アレルギーと診断された場合、症状の軽減を目的として治療が行われます。

治療方法は、薬物療法を中心に行います。

・抗ヒスタミン薬の服用
・ぜんそく治療薬の服用
・その他

それぞれの薬の特徴や治療について解説します。

3-1.抗ヒスタミン薬の服用

抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を引き起こす神経伝達物質であるヒスタミンの働きを抑える薬です。

軽度から中等度のアレルギー症状に適しており、日常生活に支障をきたす、鼻水やくしゃみ、目のかゆみといった症状を迅速に抑えることができます。

抗ヒスタミン薬の代表的なものは以下のとおりです。

・アレジオン(エピナスチン)
・アレグラ(フェキソフェナジン)
・アレロック(オロパタジン)
・クラリチン(ロラタジン)

薬剤の形は、錠剤やシロップ、ドライシロップ、OD錠、顆粒などさまざまなものがあります。

1日1回の内服でよいものや空腹時に飲まなければいけないものなど、薬の種類によって特徴は異なります。

また、アレルギーの薬は副作用として眠気が出やすいと認識がある方も多いでしょう。

しかし、最近では眠気などの副作用が出にくい薬もあります。

体質にもよりますので、医師と相談し、自分の体質や生活に合わせた飲みやすい薬を選ぶと良いでしょう。

3-2.喘息治療薬の服用

猫アレルギーが喘息様の咳症状を引き起こす場合、気管支を広げたり炎症を抑えたりする喘息治療薬を使用する場合があります。

主な喘息治療薬は以下のようなものがあります。

・吸入ステロイド薬
・短時間作用型β2刺激薬
・ロイコトリエン受容体拮抗薬

3つの薬の特徴を解説します。

【吸入ステロイド薬】
吸入ステロイド薬は、気道の炎症を抑える効果や気道の過敏性を抑える効果がある薬で、長期的な症状の管理に有効です。

吸入ステロイド薬には以下のようなものがあります。

・フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル)
・パルミコート(ブデソニド)

吸入後、口の中に薬剤が残ったままになっていると、口腔内カンジダ症や嗄声(させい:声枯れ)などの副作用の原因になります。

吸入後は、うがいや歯磨きなどをして口の中に薬剤が残らないようにしましょう。

【短時間作用型β2刺激薬(SABA)】
短時間作用型β2刺激薬は、発作時に気管支を拡張し、咳の発作や息苦しさを改善する薬で、即効性があります。

作用時間は薬にもよりますが数時間程度と短いのが特徴です。

短時間作用型β2刺激薬には以下のようなものがあります。

・サルタノール、ベネトリン(サルブタモール硫酸塩)
・メプチン(プロカテロール塩酸塩水和物)

過剰投与により、交感神経が亢進し頻脈や動機などの副作用があらわれやすくなります。

医師の指示通りの吸入回数を使用しても症状の改善が見られない場合、早めに医療機関を受診しましょう。

【ロイコトリエン受容体拮抗薬】
ロイコトリエン受容体拮抗薬は、気道の炎症やアレルギー症状を抑える効果がある薬です。

主な薬の種類は以下のとおりです。

・オノン(プランルカスト)
・キプレス、シングレア(モンテルカスト)

内服薬であり、錠剤やカプセル剤、OD錠、チュアブル錠など、さまざまな薬剤の形があります。

鼻の粘膜の炎症や鼻閉(鼻づまり)などの症状改善にも効果があるため、アレルギー性鼻炎の治療薬としても使用することがあります。

3-3.その他

猫アレルギーの症状に応じて、以下の薬も使用されることがあります。

・点眼薬
・点鼻薬

点眼薬は、目のかゆみや充血を抑え、点鼻薬は、鼻詰まりやくしゃみを軽減します。

症状に合わせて適切な薬を使用しましょう。

4.自宅でできる、症状緩和・予防のための対処法


猫アレルギーによる症状を軽減するためには、薬での治療と並行して、生活環境を見直しが重要です。

生活環境の工夫を行うことで、猫アレルギーによる症状の軽減が期待できます。

生活環境を整えるポイントは以下の5つです。

・こまめな掃除洗濯で清潔を保つ
・換気で室内の空気を清潔に保つ
・猫のブラッシングで抜け毛が散るのを防ぐ
・抜け毛が付着しやすい布製品の使用を避ける
・布製品が多い寝室に猫を入れない

ここでは、自宅で簡単にできる対処法について解説します。

【参考情報】『住居とアレルギー疾患 指針No.33 ペットアレルゲン』東京都福祉保健局
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/zenbun3

4-1.こまめな掃除・洗濯で清潔を保つ

猫アレルギーの原因となるアレルゲンは、こまめに掃除を行うことで減らすことができます。

掃除を行う際は、以下のポイントを意識しましょう。

【掃除機を使う場合】
HEPA(高効率粒子状空気)フィルター搭載の掃除機を使用すると、微細なアレルゲンを除去する効果があります。

【床掃除】
フローリングやタイルの床は、湿った布で拭き掃除をすると、アレルゲンをしっかり除去できます。

【布製品の洗濯】
カーテンやソファーカバー、ベッドカバーなどの布製品は、定期的に洗濯しましょう。特に猫がよく触れる布製品は週1回以上洗うと効果的です。

4-2.換気で室内の空気を清潔に保つ

猫のアレルゲンは粒子が小さく、空気中の浮遊時間が長いといわれています。室内のアレルゲン濃度を下げるために、換気は重要です。

効果的な換気の方法は以下のとおりです。

【窓を開ける】
1時間に5分の換気を2回以上すると、効果的な空気の入れ替えができるとされています。

エアコンの使用中でも定期的な換気を行いましょう。

【換気扇を活用する】
窓を開けるだけでなく、キッチンや浴室にある換気扇を使用して、空気の流れを作ることも有効です。

【空気清浄機との使用】
換気と合わせて空気清浄機を使用することで、浮遊するアレルゲンを効率的に除去できます。

フィルターがある場合には、フィルターの掃除も忘れずに行いましょう。

【24時間換気システムの使用】
名前の通り、24時間換気を行ってくれるシステムです。ついている家ではスイッチを切らず、24時間稼働させておきましょう。

効率的に使うためには、フィルターの掃除や換気口を塞がない家具の配置などが必要です。

4-3.猫のブラッシングで抜け毛が散るのを防ぐ

猫の毛が室内に広がるのを防ぐためには、定期的なシャンプー(トリミング)やブラッシングが効果的です。

ブラッシングを行うことで、抜け毛をあらかじめ取り除き、毛が室内に散乱するのを防げます。

頻度については、猫の種類や毛の長さ、時期、飼育の仕方によっても異なります。

ブラッシングをする場所は、毛が広がらないように、風通しの良い場所や屋外で行うと良いでしょう。

ブラッシングの際には、猫の毛やフケなどを吸い込まないよう、マスクをして行うと安心です。

4-4.抜け毛が付着しやすい布製品の使用を避ける

猫の毛は布製品に付着しやすいため、アレルギー症状を持つ方は布製品の家具を避けるか、選び方に注意が必要です。

たとえば、布製のソファーやカーテンの代わりに、レザーやビニール製の製品を選ぶと毛が付着しにくくなります。

また、布製品を使用する場合は、洗濯可能な素材や取り外して洗えるカバーを選び、定期的に洗濯すると清潔に保てるでしょう。

このように、日常的に触れる家具や布製品の選択を工夫することで、アレルゲンへの接触を減らすことができます。

4-5.布製品が多い寝室に猫を入れない

猫を寝室に入れないなど、猫が過ごすエリアを制限することも効果的です。

寝室は布製品が多く、アレルゲンが溜まりやすい環境です。また、寝室は睡眠中に長時間過ごす場所であり、アレルゲンが多いと症状が悪化する可能性があります。

猫が寝室に入らないよう対策しましょう。

【参考文献】”Pet Allergies” by Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17702-pet-allergies

5.おわりに

猫と一緒にいて咳症状が出る場合には、猫アレルギーの可能性が高いでしょう。

放っておくと日常生活に影響を及ぼす場合もあります。

猫アレルギーの治療は、薬物療法と生活環境の改善を組み合わせて行うことで、症状の軽減が期待できます。

愛猫との快適な生活を送るために、症状がある場合には早めに呼吸器内科かアレルギー科を受診しましょう。

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