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呼吸器内科の検査とは?呼吸器外科治療についても詳しく解説

医学博士 安齋 千恵子
(横浜日ノ出町呼吸器内科・内科クリニック院長)

呼吸器内科・呼吸器外科と聞くと、「どんな検査をするのだろう」「痛みはあるの?」など、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

特に初診の方にとって、検査内容が分からないことは大きな心配につながります。

この記事では、呼吸器内科で行われる検査の流れや診断までのステップを中心に解説します。

1. 呼吸器内科で行う主な検査とは?


呼吸器内科では、患者さんの症状や状態に応じて、複数の検査を組み合わせながら診断を進めていきます。

ここでは、呼吸器内科で実際に行われる基本的な検査について、それぞれの目的や方法、所要時間について説明します。

1-1. 問診・聴診で症状を詳しく聞き取る

初診時には、まず問診で患者さんの症状について詳しく話を聞きます。

いつから症状が始まったか、どのような症状があるか(咳、痰、息切れ、胸痛など)、症状が出やすい時間帯や状況などを確認します。

また、過去の病歴やアレルギーの有無、喫煙歴、職業環境についても伺います。

特に喫煙歴は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺がんなど、多くの呼吸器疾患と深く関連があるため、診断において重要な情報となります。

現在喫煙中か、過去に喫煙していたか、1日の本数や喫煙年数なども詳しく確認することがあります。

◆『喫煙で疑われる病気』について>>

問診の後、聴診器を使って胸や背中の呼吸音を確認し、喘鳴(ぜんめい)や異常な呼吸音がないかを調べます。

問診と聴診だけでも、ある程度の診断の見当をつけることができ、その後の検査計画を立てる大切な手がかりとなります。

1-2. 血液検査で体内の炎症やアレルギーを調べる

腕から少量の血液を採取して、体内の炎症の程度やアレルギーの有無を調べます。

<血液検査でわかること>
・白血球数やCRP値(炎症の程度)
・IgE値(アレルギー反応の強さ)
・特異的IgE(どの物質にアレルギーがあるか)
・腫瘍マーカー(必要に応じて)

血液検査は数分で終わり、痛みは採血時の針を刺す瞬間だけです。

結果は数日から1週間程度でわかることが多いでしょう。

【参考情報】『Allergy Blood Test』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/lab-tests/allergy-blood-test/

1-3. 画像検査で肺の状態を確認

胸部レントゲン検査は、肺全体の様子を簡単に調べることができ、肺炎や肺がん、心臓の大きさなどがわかります。

胸部CT検査は、より詳細に肺の内部を観察でき、レントゲンでは見つけにくい小さな病変も発見できます。いずれの検査も数分程度で終わります。

画像検査は呼吸器疾患の診断において重要な役割を果たします。

1-4. 呼吸機能検査で肺の働きを測定する

肺にどれだけ空気が入り、どれだけ速く吐き出せるかを測定する検査です。

スパイロメトリー(肺活量測定)は、呼吸器内科で最も基本的な検査のひとつと言えるでしょう。

マウスピースをくわえて、思い切り息を吸い込み、一気に吐き出します。

これを数回繰り返すことで、肺の容量や気道の狭さを数値化します。

おもに、以下の数値を測定します。

・肺活量(VC):深く吸ってゆっくり吐いた空気の量
・1秒量(FEV1):一気に吐き出した最初の1秒で出る空気の量
・1秒率(FEV1/VC):空気の出しやすさを示す割合

検査時間は10〜15分程度で、痛みはありません。

深呼吸を繰り返す検査ですので、リラックスして受けましょう。

その他、呼気NO検査という息に含まれる一酸化窒素を測定する検査や、モストグラフという気道の抵抗を調べる検査もあります。これらも痛みはなく、数分で終わる検査です。

これらの検査は、おもに気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などが疑われるときに行われます。長引く咳や息切れに対して市販薬を使い続けるよりも、一度検査を受けて原因を確認することが大切です。

◆『市販薬が効かない 長引く咳の原因と受診の目安』について>>

2. 問診・聴診・画像検査の流れをやさしく解説


呼吸器内科では、段階的に検査を進めながら、病気の原因を特定していきます。

すべての患者さんに同じ検査をするのではなく、症状や検査結果に応じて必要な検査を選んでいきます。この章では、初診から診断が確定するまでの流れをご説明します。

2-1. 基本検査で診断の方向性を決める

問診・聴診の結果をもとに、必要な基本検査を行います。一般的には、胸部レントゲン、血液検査、呼吸機能検査などが実施されます。

これらの検査結果を総合的に判断し、診断を確定できる場合もあれば、さらに詳しい検査が必要と判断される場合もあります。

2-2. 精密検査で確定診断を行う

基本検査だけでは診断が確定しないときや、より詳しい情報が必要なときは、精密検査を行います。

胸部CT検査で肺の詳細な画像を撮影したり、気管支鏡検査で気管支の内部を直接観察したりすることで、正確な診断を目指します。

【参考情報】『「気管支鏡による検査、治療について」Q&A(改訂版)』日本呼吸器内視鏡学会
https://www.jsre.org/modules/general/

2-3. 診断後の治療方針決定

検査で診断結果が出たら、患者さんの年齢、体力、病気の進行度、他の病気の有無などを考慮して、一人ひとりに合った最適な治療方針を決定します。

医師と相談しながら、ご自身に合った治療を続けていくことが大切です。

3. 呼吸器内科の検査でわかる主な病気


呼吸器内科の検査によって、さまざまな呼吸器の病気を発見できることがあります。

早期に発見できれば、適切な治療によって症状をコントロールし、生活の質を保てる可能性があります。

ここでは、呼吸器内科で診断できる代表的な病気についてご紹介します。

3-1. 気管支喘息

気管支喘息は、気道が慢性的な炎症を起こして狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。

咳、痰、息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)が主な症状です。夜間や早朝に症状が出やすく、季節の変わり目や運動後に悪化することもあります。

アレルギーが関与している場合も多くあります。

適切な治療を続けることで、症状をコントロールできる可能性があります。

【参考文献】“Asthma” by National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma

3-2. COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDは、主に長年の喫煙によって肺が破壊され、慢性的な咳、痰、息切れが生じる病気です。

階段の上り下りや坂道で息切れを感じることから始まり、進行すると日常生活に大きな支障をきたします。

日本では40歳以上の約8.6%がCOPDであると推定されていますが、実際の患者数に比べ、診断に至っていないケースが多いと考えられています。

◆『COPDについて』について>>

3-3. 肺炎

肺炎は、肺に炎症が起こる病気で、発熱、咳、痰、胸痛、強い倦怠感を伴います。

細菌やウイルスなどの感染が原因で起こることが多く、高齢者や免疫力が低下している方は重症化しやすい傾向があります。

市中肺炎(日常生活で発症)と院内肺炎(入院中に発症)に分類され、早期に治療を始めることが重要とされています。

3-4. 肺がん

肺がんは、肺にできる悪性腫瘍で、日本人のがん死亡原因の上位を占めていると言われています。

咳、血痰、胸痛、体重減少などの症状が現れますが、初期には無症状のことも多く、健康診断で偶然発見されることもあります。

早期発見により、治療の選択肢が広がる場合もあるでしょう。

◆『肺がんとは?』について>>

4. 外科手術が必要になる前に行う治療・経過観察


多くの呼吸器疾患は、呼吸器内科での薬物療法や生活指導によって改善が期待できます。

手術が必要になるのは、内科的治療だけでは対応できない場合です。

この章では、呼吸器内科と呼吸器外科の役割の違いと、できる限り手術を避けるために行う内科的治療や経過観察の重要性についてご説明します。

4-1. 内科治療で症状をコントロールする

呼吸器内科では、主に薬物療法で症状をコントロールします。

気管支喘息やCOPDは吸入薬で気道の炎症を抑え、肺炎は抗生物質などで原因となる病原体を治療し、間質性肺炎はステロイド薬などで炎症を抑えます。

定期的に通院し、薬の効果を確認しながら治療を続けることが大切です。

自己判断で服薬を中止すると、症状が悪化することがあるので注意が必要です。

4-2. 定期的な経過観察の重要性

慢性的な呼吸器疾患の場合は、定期的な経過観察が重要です。

症状の変化を確認し、胸部レントゲンやCT、スパイロメトリー、血液検査などで病状を把握します。定期的に検査を受けることで、病気の進行を早期に把握することにつながるでしょう。

また、経過観察を続けることで、必要な治療のタイミングを逃さず対応できる場合があります。

4-3. 呼吸器内科と呼吸器外科の違い

呼吸器内科は、薬物療法や生活指導を中心とした内科的治療を行う診療科です。

気管支喘息、COPD、肺炎、間質性肺炎など、多くの呼吸器疾患に対応します。

咳が2週間以上止まらない方や、息切れを感じる方は、早めに呼吸器内科で検査を受けましょう。

◆『咳が止まらない時は何科に行く?』について>>

呼吸器外科は、手術による治療を専門とする診療科で、手術が必要な病気を治療します。

多くの呼吸器疾患は内科での治療で改善しますが、手術が必要な場合は呼吸器外科と連携して治療を進めます。

4-4. 呼吸器外科での手術が必要になる場合

内科治療だけでは対応が難しい場合、呼吸器外科での手術が必要になることがあります。

主な例として、以下のような病気があります。

・肺がん
肺にできる悪性腫瘍で、早期であれば手術による治療が可能

・気胸(ききょう)
肺から空気が漏れて胸の中にたまる病気で、自然に治らない場合や繰り返す場合

・縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)
胸の中央部分にできる腫瘍で、大きくなると症状が出るため摘出が必要

・膿胸(のうきょう)
胸の中に膿がたまる病気で、抗生物質だけでは治らない場合

手術が必要と判断された場合でも、現在は胸腔鏡下(きょうくうきょうか)手術やロボット支援手術など、体への負担が少ない手術が主流になっています。

【参考情報】『胸腔鏡下手術とは』滋賀医科大学 呼吸器外科
https://www.sums-respsurg.jp/medical-contents/lung-cancer/vats

5. 安心して検査を受けるためのポイント(服装・食事・注意事項)


検査を受ける前に、準備や注意点を知っておくことで、安心して検査を受けることができます。

ここでは、検査を受ける際の基本的なポイントをご紹介します。

5-1. 検査前の食事について

検査の種類によって、食事制限の有無が異なります。

一部の検査では、検査前に食事を控える必要があります。

必ず医療機関からの事前の指示を確認し、不明な点があれば、予約時や受付時に確認しましょう。

5-2. 検査当日の服装と持ち物

一般的には、着替えやすく検査部位を出しやすい服装が推奨されます。

持ち物としては、健康保険証やお薬手帳、紹介状などが必要になることが多いでしょう。

過去の検査結果を持っている場合は、受診時に持参すると診断の参考になります。

また、金属類のアクセサリーや時計は、検査によっては外す必要があります。

詳しい服装や持ち物については、医療機関から事前に案内がありますので、予約時に確認しましょう。

5-3. 検査当日の注意点

検査中は、医師や検査技師の指示に従ってください。

胸部CT検査では、体を動かさない、息を止めるなどの指示がある場合があります。

検査中に痛みや苦しさを感じたら、無理をせずにすぐに伝えてください。

【参考情報】『CT検査』近畿中央呼吸器センター
https://kcmc.hosp.go.jp/about/cnt0_000022.html?utm_source=chatgpt.com

5-4. 検査後の過ごし方

ほとんどの検査では、終了後に特別な安静は必要なく、普段通りの生活を送れる場合が多いでしょう。

ただし、検査の種類によっては、安静や食事・飲酒の制限が必要になることもあります。

医療機関からの説明をよく聞いて、指示に従いましょう。

検査後に異常な症状が現れた場合は、すぐに受診した医療機関に連絡してください。

6. おわりに

呼吸器内科で行う検査の多くは、痛みが少なく短時間で終わります。

病気を早期に発見できれば、内科的治療で対応できる可能性も高まります。

「咳が続く」「息切れがする」「胸が苦しい」などの症状がある場合は、我慢せず受診しましょう。

検査内容や流れで不安な点があれば、遠慮なく医療機関に相談することが大切です。早期発見・早期治療が、健やかな呼吸と快適な生活につながります。

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